2025 0429 地質の日 記念イベント・鳥ノ巣半島一周
2025 0429 第18回の地質の日・記念イベントで「鳥の巣半島一周」でした。提供パンフはA3で裏表 「田辺市新庄町 鳥の巣半島~北内之浦のみどころ」 として簡潔にまとめられている。
田辺湾の地形と地層:
湾岸域には広い波食棚、海食崖が発達する。 神島(かしま)をはじめ、 沖島、 畠島、 丸山など多くの離れ島が点在し、 内之浦には広い干潟(ひがた)もみられる。
田辺湾内には干潮と満潮の間、「潮間帯」と呼ばれる場所があります。 年間の干潮から満
潮まで高さにして2mを少し超えるぐらいの幅です。 潮間帯の下の干上がらない部分を「潮下帯」と呼び、 私たちが海の生物を手軽に観察できるのは、 潮間帯と潮下帯に棲んでいる生きものたちです。
湾岸域は下部中新統田辺層群の砂岩、礫岩で主に形成され、沿岸流で形成された千里海岸 (千里ヶ浜)、南部川河口(南部大浜) 会津川河口 (扇ヶ浜)には砂浜海岸が美しい。 縄文海進期には現在より数m高い位置に海水面があったので、田辺湾周辺には比高15~20mに低位海成段丘面が見える。
南海トラフ地震の影響で、 田辺⇔新宮のほぼ東西に延びる沈降域が形成されている。 その為、田辺湾は閉鎖性海域の地形になっている。これは多分ほとんどの人が実感できないことだと思われる。トラフ地震が起こると紀伊半島は蛇腹のように、串本付近は大幅な隆起、田辺湾付近は沈降し、これの繰り返しがあった訳ですが、実際には鳥の巣半島を見ても少し隆起してるかなという実感である。半島の産業としては、田んぼの田園地帯で用水はため池を利用、半島の尾根筋は雨保水のため広葉樹が繁茂している。元々、砂浜が無いので製塩地帯ではなかったようである。
①~⑦のみどころのキーワード
① 内之浦干潟親水公園 干潟の生き物 (田辺湾の一番奥まった沿岸流影響の無い所)
②鳥ノ巣平和公園 特攻艇 「震洋」 の洞窟跡と生痕化石 (海蝕崖の縄文海進跡・潮流ライン)
③鳥ノ巣半島泥岩岩脈 国指定天然記念物 新第三紀の液状化跡と磯と田んぼの生き物
④海岸の里山風景 田辺湾に浮かぶ島々と潮風の香る田んぼ(円礫の結晶片岩)
⑤ 丸山 生痕化石のアパート (浅海性堆積構造 田辺湾の地形)
⑥神島⇒国指定天然記念物 (上陸禁止) これは俯瞰するのみ。スランプ褶曲露頭 気候風土に応じた暖地性植生
⑦北内之浦⇒波食棚と海食崖 磯の生き物(浅海で形成された岩に、生痕化石と貝類化石)
今回、一周して訪れたところは以下の4点(④③⑤②)でした。目から鱗的な場所もあったと感じています。
④海岸の里山 田辺湾に浮かぶ島々の風景 円礫の結晶片岩・田んぼの前は海
アワビのような形の岩・トノサマガエル・クワガタ
③鳥ノ巣半島泥岩岩脈 国指定天然記念物 新第三紀の液状化跡・下に積もっていた泥が上に積もった岩の割れ目を突き抜けた!
⑤丸山 生痕化石のアパート浅性堆積構造と田辺湾の地形
生痕化石の種類(吉松由来)Ophiomorpha・Macaronichnus等
②鳥ノ巣平和公園 1945年特攻艇 「震洋」 格納庫跡 縄文海進のなごり
その他。
田辺湾の地形と地層
⑦北内之浦 磯の生き物観察 広い波食棚と海食崖
①内之浦干潟親水公園 憩いの場 干潟の生き物観察
白浜駅から徒歩約30分。 干潮時には干潟の生物観察ができる貴重な公園です。
田辺湾最大の干潟で約5.6ha, 満潮時は全体が水没し、 干潮時は露出。陸側からは3本の小河川が流入し、中央の仙波谷川にはアシ原もあります。 大きな波模様のモニュメントは、過去2回の津波の高さを表示。 アコウの木、ハマボウなどが植栽され手入れの行き届いた憩いの場所です。
好晴天の中ご参加の皆様大変お疲れ様でした。少し暑くて海風もありましたが、約11000歩 ゴミ拾いも精力的に行なっていただき少し綺麗になりましたね。
ここの生痕化石は、石ころ散歩では、プロブレマティカというテーマで紹介されています(P121)。
https://ja.m.wikipedia.org/.../%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83...
https://www.gsj.jp/geologyday/2025/index.html#item









田辺湾の地形と地層:
湾岸域には広い波食棚、海食崖が発達する。 神島(かしま)をはじめ、 沖島、 畠島、 丸山など多くの離れ島が点在し、 内之浦には広い干潟(ひがた)もみられる。
田辺湾内には干潮と満潮の間、「潮間帯」と呼ばれる場所があります。 年間の干潮から満
潮まで高さにして2mを少し超えるぐらいの幅です。 潮間帯の下の干上がらない部分を「潮下帯」と呼び、 私たちが海の生物を手軽に観察できるのは、 潮間帯と潮下帯に棲んでいる生きものたちです。
湾岸域は下部中新統田辺層群の砂岩、礫岩で主に形成され、沿岸流で形成された千里海岸 (千里ヶ浜)、南部川河口(南部大浜) 会津川河口 (扇ヶ浜)には砂浜海岸が美しい。 縄文海進期には現在より数m高い位置に海水面があったので、田辺湾周辺には比高15~20mに低位海成段丘面が見える。
南海トラフ地震の影響で、 田辺⇔新宮のほぼ東西に延びる沈降域が形成されている。 その為、田辺湾は閉鎖性海域の地形になっている。これは多分ほとんどの人が実感できないことだと思われる。トラフ地震が起こると紀伊半島は蛇腹のように、串本付近は大幅な隆起、田辺湾付近は沈降し、これの繰り返しがあった訳ですが、実際には鳥の巣半島を見ても少し隆起してるかなという実感である。半島の産業としては、田んぼの田園地帯で用水はため池を利用、半島の尾根筋は雨保水のため広葉樹が繁茂している。元々、砂浜が無いので製塩地帯ではなかったようである。
①~⑦のみどころのキーワード
① 内之浦干潟親水公園 干潟の生き物 (田辺湾の一番奥まった沿岸流影響の無い所)
②鳥ノ巣平和公園 特攻艇 「震洋」 の洞窟跡と生痕化石 (海蝕崖の縄文海進跡・潮流ライン)
③鳥ノ巣半島泥岩岩脈 国指定天然記念物 新第三紀の液状化跡と磯と田んぼの生き物
④海岸の里山風景 田辺湾に浮かぶ島々と潮風の香る田んぼ(円礫の結晶片岩)
⑤ 丸山 生痕化石のアパート (浅海性堆積構造 田辺湾の地形)
⑥神島⇒国指定天然記念物 (上陸禁止) これは俯瞰するのみ。スランプ褶曲露頭 気候風土に応じた暖地性植生
⑦北内之浦⇒波食棚と海食崖 磯の生き物(浅海で形成された岩に、生痕化石と貝類化石)
今回、一周して訪れたところは以下の4点(④③⑤②)でした。目から鱗的な場所もあったと感じています。
④海岸の里山 田辺湾に浮かぶ島々の風景 円礫の結晶片岩・田んぼの前は海
アワビのような形の岩・トノサマガエル・クワガタ
③鳥ノ巣半島泥岩岩脈 国指定天然記念物 新第三紀の液状化跡・下に積もっていた泥が上に積もった岩の割れ目を突き抜けた!
⑤丸山 生痕化石のアパート浅性堆積構造と田辺湾の地形
生痕化石の種類(吉松由来)Ophiomorpha・Macaronichnus等
②鳥ノ巣平和公園 1945年特攻艇 「震洋」 格納庫跡 縄文海進のなごり
その他。
田辺湾の地形と地層
⑦北内之浦 磯の生き物観察 広い波食棚と海食崖
①内之浦干潟親水公園 憩いの場 干潟の生き物観察
白浜駅から徒歩約30分。 干潮時には干潟の生物観察ができる貴重な公園です。
田辺湾最大の干潟で約5.6ha, 満潮時は全体が水没し、 干潮時は露出。陸側からは3本の小河川が流入し、中央の仙波谷川にはアシ原もあります。 大きな波模様のモニュメントは、過去2回の津波の高さを表示。 アコウの木、ハマボウなどが植栽され手入れの行き届いた憩いの場所です。
好晴天の中ご参加の皆様大変お疲れ様でした。少し暑くて海風もありましたが、約11000歩 ゴミ拾いも精力的に行なっていただき少し綺麗になりましたね。
ここの生痕化石は、石ころ散歩では、プロブレマティカというテーマで紹介されています(P121)。
https://ja.m.wikipedia.org/.../%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83...
https://www.gsj.jp/geologyday/2025/index.html#item









2025 0419 10周年 記念講演会「田辺の石ころばなし」
2025 0419 田辺ジオパーク研究会・10周年記念講演会。2015年発足時よりお世話になっている中屋志津男先生にご講演をいただきました。まず、田ジ研会長より現状の解説(おもしろ田辺等成果物、年、4-5回の巡検と自主研修、不定期ジオ塾、2021年より田辺市自然専門委員会活動等)をいただきました。「石ころばなし」というお題ですが、内容は一般の人には少し難解だったかもしれませんが、ほとんどが「紀の国 石ころ散歩」新訂版よりの抜粋です。イントロ内容としては、紀伊半島の地質学研究は戦争を挟んで1930年頃から行われたこととべースは有力な鉱山(紀州鉱山、妙法鉱山、白浜鉱山等)が存在したこと、1960年より四万十帯研究グループにより2012年に地質図が完成した事、本題では地形の特徴、整合・不整合の重要性、プレート応力による南北の山脈と東西の山脈および笠塔山のような屈曲構造が形成される。尾根形成はテクトニクスによる山脈と谷が風化してできるものがある、海岸段丘を観察することにより隆起帯と沈降域、田辺湾は沈降域になる。海底での特徴は南海付加体、熊野海盆、室戸海盆ができつつあり、南海トラフ地震そのものは外縁隆起帯付近での逆断層(スラスト)部分でのズレによる地震である。沈降域では津波は沈降した上を伝播するので、災害が予想より大きくなる可能性がある。
四万十付加体の全体的な層序、特に副が構造で形成されておりスラスト褶曲構造が顕著である。以前は化石による時代判定でしたが、現在は放散虫化石による、判定が多い。美山付加コンプレックス・龍神付加コンプレックス等は存在する海洋性岩石(チャート等)により判定されることが多い(白亜紀等の時代考証)。音無川付加シークエンスには最下部に瓜谷層(うりだに)という泥岩互層があり、南高梅の栽培に適している地層が有名である。古谷(ふるだに)石も有名であり、これは石灰岩由来である。羽六層下部には等量タービダイトがあり、果無山脈で散見されるタービダイト地層です。牟婁層群(付加シークエンス)の特徴として「オーソコーツァイト」を含む礫岩層が見受けられる。
ETC 残念ながら全て網羅はできませんでした。地球は生きているという感じを改めて感じさせていただきました。
以下 参考に:
三越の観測井戸は:
https://gbank.gsj.jp/wellweb/GSJ/kiiyochi/PDF/N05.pdf
オーソコーツァイトは大陸からの手紙
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/05_10_04.pdf



四万十付加体の全体的な層序、特に副が構造で形成されておりスラスト褶曲構造が顕著である。以前は化石による時代判定でしたが、現在は放散虫化石による、判定が多い。美山付加コンプレックス・龍神付加コンプレックス等は存在する海洋性岩石(チャート等)により判定されることが多い(白亜紀等の時代考証)。音無川付加シークエンスには最下部に瓜谷層(うりだに)という泥岩互層があり、南高梅の栽培に適している地層が有名である。古谷(ふるだに)石も有名であり、これは石灰岩由来である。羽六層下部には等量タービダイトがあり、果無山脈で散見されるタービダイト地層です。牟婁層群(付加シークエンス)の特徴として「オーソコーツァイト」を含む礫岩層が見受けられる。
ETC 残念ながら全て網羅はできませんでした。地球は生きているという感じを改めて感じさせていただきました。
以下 参考に:
三越の観測井戸は:
https://gbank.gsj.jp/wellweb/GSJ/kiiyochi/PDF/N05.pdf
オーソコーツァイトは大陸からの手紙
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/05_10_04.pdf


